日本石灰窒素工業会

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農家の使用体験記|技術情報

根菜類を救ったマリーゴールド ~ダイコン、ニンジンのネグサレセンチュウ被害は激減~

北海道七飯町 坂本さん

■連作障害に配慮し土づくりに努める
 私の住む七飯町は、函館市より北へ16㎞のところにあります。気候は温暖で、積雪量は少なく、耕地は南西斜面、雪どけが早く、3月上旬には露地マルチ・トンネル作型で野菜類の播種が可能です。
 歴史は古く、最初に西洋式農業が普及され、“男しゃくいも”の発祥の地としても有名です。そして、先人のたゆまない努力により、現在は水稲、野菜、花き、果樹、畑作、酪農、肉牛と北海道を代表する品目はほとんど生産しています。なかでも、野菜栽培の歴史は古く、それだけに「連作障害」に気を配り、「土づくり」に努めてきたところです。しかし、近年急速に根菜類(ダイコン、ニンジン)の栽培面積が増え、ネグサレセンチュウ類の被害が目立つようになり、その対策が急務となりました。
■農薬を使用しない防除体系の確立
 私が所属する若い担い手集団「七飯町4Hクラブ」では、平成2年からこの課題をプロジェクトとして取り上げ、拮抗植物マリーゴールドを利用し、農薬を使用しない防除体系の確立をめざし、農業試験場、農業改良普及センター、JAの技術指導を得ながら研究を進めました。その結果、マリーゴールドの数品種のなかから、防除効果が高かった「アフリカントール」を6月下旬〜7月下旬に72㎝×21㎝に移植し、10月10日〜25日にすき込む方法をとることになりました。
 「アフリカントール」の生体重は7t/10a以上になり、量が多いので2回に分けてすき込みます。第1回目は、ロータリーで破砕し、2回目に石灰窒素を60㎏施用し、ロータリー耕ですき込みます。その結果、次年度のダイコン、ニンジンのネグサレセンチュウの被害は激減し、その効果は3年間続きます。石灰窒素はマリーゴールドの腐熟促進、土壌消毒や除草効果があります。また、有機物を多投するとよく「ゴミムシ」が発生しますが、石灰窒素によりその被害も少なくなることがわかりました。
■腐熟促進のため石灰窒素の量を加減
 私が石灰窒素を使用するきっかけは、祖父が使っていたからで、このプロジェクトにより、その効果をさらに知ることができました。今では、仲間にも自信を持って薦めています。
 石灰窒素の使用にあたって、留意すべき点があります。それは、マリーゴールドの効果を上げるためには、定植後、栽培期間を90日以上とします。このため、すき込み時期が10月上旬すぎになり、気温が下がってしまうことがあります。このような状況では、腐熟促進のための石灰窒素はいっそう必要となりますが、量はむしろ少なくしたほうがよいようです。七飯町では高温時のすき込みには、石灰窒素100㎏、低温時(10月10日頃)では60㎏施用するのが基準になっています。
 このような成果により、平成6年度から七飯町野菜生産出荷組合の野菜品質向上対策事業として、マリーゴールドを4年に1回栽培することが取り上げられています。内容は農家、JA、町で基金を創設し、そこから種子代を肥料代、管理費として約1万4,000円がJAと町から補助されます。対象作物は、ニンジンで約280haです。
 この取り組みは、環境保全型農業、クリーン農業として、新聞、テレビ、雑誌などで広く報道され、全国的に知られるようになってきました。
 『土づくりは、有機と・やる気と・根気から』が、わが町の合言葉になっており、石灰窒素をはじめ貝化石、完熟堆肥、マリーゴールド、有機化成の施用を毎年コツコツと続けています。
 このように、七飯町はクリーンな野菜の生産、地域環境の保全、農村景観の美化が進んでいます。そして、私たち4Hクラブがそれに貢献できたことを喜んでいます。

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